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おやつの思い出(オーブン編)

by oyatsutakiko

初めて「家庭用オーブン」に出会ったのは、おそらく小学校1年生くらいのことだったと思う。

年末年始、母の実家に帰省後、おみやげを届けにご近所のお宅に伺ったときのことである。

玄関先でにこやかに談笑しているそのお宅の奥様と父母、その奥様が、

「今、娘がシュークリームを焼いているのよ〜」

と仰った。

シュークリーム?!?!家で作れるの?

駅前で売っているヒロタのシュークリームしか知らない私はとてもとても驚いた。

どうやって作るのだろう?どうしても作っているところを見てみたくなり、
いったん家に戻ったものの、見てみたい見てみたいと父母に言うと、

「じゃあお願いして見せてもらいなさい」

ということになり、父に連れられて再びそのお宅にお邪魔し、キッチンにて作ってる様子を見せてもらった。

ちょうどシューの皮がオーブンの中でふくらみ、程なくして焼きあがったシューが目の前に現れた。

すげーーーーー✨✨✨

そのシュー皮は、ヒロタのシュークリームの様にボコボコしてなくて、つるんと丸く膨らんでいる。

「ちょっとシューの生地が柔らかかったかもしれないわね〜」

などと奥様と娘さんとでしゃべっている。そして、シュー皮の底が天板にくっついてしまったらしく、剥がすと底だけ抜けた状態になってしまった。

あらあらあら、などと言いながらも鷹揚に手を動かしている。抜けた底側から、作っておいたカスタードクリームをスプーンですくって入れ、その一つを食べさせてもらった。

うめーーーーー♡♡♡

もちろん口に出しては言わず、ただただびっくりした顔でシュークリームをほおばった。奥様と娘さんはニコニコしていた。

・シュークリーム
・家で出来る
・カスタードクリームも
・家で出来るんだ

どうやって帰ったか覚えてないくらい、頭の中は「シュークリーム・家で出来る」でいっぱいになった。


当然我が家にはまだオーブンはないので、いつかいつか!作ってみたいと思いながら、ハウスのデザートに喜んだり、ホットケーキに挑戦してみたり、前項の様なことをして過ごしていた。

こんな経緯があるので、ママレンジが家に来たときや、オーブンレンジを買うとなった時の喜びはきっとご想像いただけることと思う。

そしていよいよ、オーブンレンジはやってきた。

母も私も、こまめにこの新しい機械とお付き合いした。牛乳を温めるのに最適な時間を探り当てるまでに何回も庫内で牛乳を爆発させたり、金の模様のついたお皿でチンして火花にたいそうびっくりしたり、レンジ弱でいつまでも温まらないのに心配したりと、それはそれは充実した電子レンジライフであった。

レンジ機能にようやく慣れてきた頃、いよいよオーブンにもチャレンジしよう、そう、その時がやってきた。

最初のオーブンでのお菓子は、そんなに難しくないのからにしようと、かねてから予習に余念がなかったこの本から、「マドレーヌ」を作ることにした。


同じ量の小麦粉、砂糖、卵、溶かしバターを順ぐりによく混ぜて、型に流して焼くという、初心者にはもってこいの作り方であった。
初めての時は神様が成功させてくれるとどこかで聞いたことがあったが、大過なく生地を作り上げ、マドレーヌ用の少し丈夫な銀ケースに流し、オーブンで焼くこと20分…、

素晴らしくいい匂いと共にきつね色に焼きあがったマドレーヌは、本当に美味しかった。

母も、

「あらー!美味しいわねええ!」

と絶賛してくれた。


すっかり気を良くした私は、ゆっくり作れる時間をみつけてはウキウキといろいろなお菓子を作った。上記の本のは、オーブンものはほぼ網羅したと思う。もちろん、うまくいかないお菓子もたくさんあって、スポンジケーキが「これクッキーって呼んだ方がいいんじゃないの?」というほど薄べったくカサカサに焼きあがったり、「これはフランスパンでしょうか?」という出来ばえのシュー皮など、もうしばらく作んないもん!というほど凹んだ時も多々あった。それでも、出来ないものは後回しにして、簡単なクッキーや、成功経験のあるお菓子はじゃんじゃん作った。
最初の失敗からだいぶ経った後、リベンジで作ったシュークリームが写真の通りに頭がぽこぽことしててしっかり膨らんだ時はうぉっしゃー!とガッツポーズをし、やれば出来るじゃんを学んだ。

本屋さんでこのシリーズの2作目を見つけ、こちらも購入していろいろチャレンジ。

今田美奈子先生さまさまである。

お菓子を作らない時も、何度も何度もパラパラとめくっては読み、たくさん楽しんだ。


オーブンレンジ購入時についてきた料理本も、気に入った作り方のものは何度も試した。


写真のよりはだいぶ素朴な出来上がりだったが、バターロールの焼きあがるとってもいい匂いは今でも忘れない。

母がリンゴのフィリングを作り、私がパイ生地を担当して、アップルパイも何度も作った。
その料理本の中の写真の通りに、上の部分を細長く切ったパイ生地で交差に編み、昔懐かしい見た目のアップルパイが出来るのはとても充実した良い時間だった。


常連のお客さまで、おやつラボもご経験の母娘さんが先日ご来店の時に、
スポンジケーキの作り方のコツをおさらいしたいとご質問をいただいた。
うまく伝えられたかなぁという反省と共に、自分の子供時代をたくさん思い出し、
思いつくままに「おやつの思い出」3部作となった。


そういえば母が最近、ご近所の奥様と話す機会があった折、
あのときのシュークリームが進路を決めるきっかけとなったかもしれませんと伝えると、
奥様はたいそう喜ばれたそうだ。
ああきっとそうだったかもなぁ、喜んでいただいてこちらこそ嬉しいなぁ、有難いなぁと思う次第である。何せ小さい頃のことで、お礼もきちんと言えたかどうか覚えていないのだ。


oyatsutakiko
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